クレジットカードの明細に、覚えのないLP生成ツールの課金が並んでいた
月初の朝、コーヒーを淹れながらクレジットカードの明細をチェックしていたら、海外サービスの少額課金が3件並んでいた。すべて、検証のために登録したLP自動生成ツールだった。「テキストを1行入れれば、丸ごとLPが出てくる」と話題になっていたやつを、自分の手で試すために契約していたのを思い出した。
解約する前に、せっかくなので生成したLPを5枚、ブラウザに並べて開いてみた。どれも、驚くほどキレイだった。余白は整い、フォントは揃い、配色は破綻していない。10分前まで存在しなかったページが、制作会社の中堅デザイナーが1日かけて作ったような顔をしている。正直、感心した。
その隣に、ブックマークしておいた競合他社の本物のLPを5枚、並べて開いた。そして、画面を見比べた瞬間に、背筋がすっと冷たくなった。どれがAIで、どれが人間が作ったものか、ぱっと見では区別がつかない。もっと言えば、10枚すべてが「同じ顔」をしていた。
これは、LP制作を生業にしている自分にとって、希望でもあり、危機でもあった。今日は、LP制作100件以上の現場に立ってきた立場から、「AIで作ったキレイなLPほど売れなくなる」という、2026年に起きている逆転現象の正体を書く。そして、その逆を行く設計の考え方を3つに絞って共有したい。
なぜ、AIが作るLPは全部「同じ顔」になるのか
誤解のないように先に言うと、AIのLP生成ツールは優秀だ。配色のセオリー、余白の取り方、文字組みのバランス。デザインの教科書に載っている「正解」を、瞬時に再現してくる。問題は、まさにそこにある。
AIは、世の中にある無数のLPを学習して、その平均値を出力する。だから、出てくるものは常に「平均的に正しい、整ったLP」になる。きっちりグリッドに沿って整列し、誰が見ても破綻のない、無難なデザイン。これが世界中で同時に量産されると、何が起きるか。「整っていること」そのものが、もはや差別化にならなくなる。
2026年のWebデザインのトレンドを追っているメディアでは、「アンチグリッド」という言葉が繰り返し登場している。あえて要素を斜めに置く、わざと重ねる、整列を崩す。一見すると素人っぽく見えるこの手法が、なぜ今プロの現場で注目されているのか。答えはシンプルで、整然としたデザインが、AI生成物と見分けがつかなくなったからだ。
お客様は、デザインの理屈を言語化できなくても、感覚では見抜く。「なんか、どこかで見たことがある」「テンプレっぽい」「自分に関係なさそう」。この無意識の警戒が走った瞬間に、指はそっと戻るボタンへ向かう。完璧で無機質なものに対して人が警戒を覚えるのは、AI生成コンテンツが日常に溢れた、今だからこそ強まっている反応だ。
お客様が反応するのは「自分ごとに見えるLP」。
この2つは、まったく別のものだ。
量産LPの海で選ばれる、3つの考え方
では、AIで誰でもキレイなLPが作れる時代に、自分のLPをどう設計すればいいのか。現場で効いている考え方を、3つに絞って共有する。どれも、ツールの機能ではなく「人間が決める部分」の話だ。
注意:「崩せばいい」と勘違いすると、ただ読めないページになる
ここまで読んで「じゃあ全部斜めにして、要素を重ねまくればいいのか」と受け取ると、確実に失敗する。アンチグリッドは、整然とした土台があって初めて効く「引き算ではなく、足し算の例外」だ。全面を崩したページは、おしゃれに見える以前に、どこを読めばいいか分からない迷子のページになる。
順番が大事だ。まず、AIや既存ツールでいいので、整ったLPの土台をきちんと作る。その上で、最も読ませたい1〜2箇所にだけ、意図して崩しを入れる。そして全体を貫くのは、見た目ではなく「誰の、どの悩みに、どの順番で答えるか」という設計。この優先順位を逆にすると、見た目だけ奇抜で中身のないLPが出来上がる。
もう一つ、LPは一度作って終わりではない。ファーストビューでどれくらい離脱しているか、どこまでスクロールされているか。アクセス解析のデータを見ながら、大改修ではなく小さな手直しを続けるほうが、結果につながりやすい。AIで作った人と差がつくのは、公開した後の「数字を見て直し続ける」習慣の有無でもある。
「整ったLPはあるのに売れない」と感じたら
今は、見た目がキレイなLPは、お金をほとんどかけなくても手に入る。だからこそ、これからLPで成果を出したい事業者がやるべきは、ツールでキレイに作ることではない。「誰の、どの悩みに向けたページか」を絞り込み、その人が申込ボタンを押すまでの順番と言葉を設計することだ。見た目はもう、スタートラインでしかない。
SUICSのLP制作は、デザインを納品して終わりではなく、お客様の現実を取材して「売れる構造」を組むところに重心を置いている。整いすぎて埋もれているLPを、たった一人に刺さる尖ったページへ作り直す。AIで量産されたページが増えるほど、この「設計とコピーで差をつける」価値は、むしろ際立っていく。
すでに自作・テンプレで作ったLPがあるなら、それを活かしながら、効くポイントだけ手を入れる形でも進められる。よくある構造の失敗を先に知りたい人は 「売れないLPに共通する致命的な3つの失敗」 も読んでほしい。